めだどくしょ

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本質的なことをするのって難しいよね|「小さなチーム、大きな仕事」読了

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知人に勧められて、この本を読みました。早速レビュー。

努力のサプリメントです

どういう本かというと、自分らしく生きようと努力して頑張っている人を激励してくれるような本。 努力しているからこそ、この本でも触れているいくつかの本質に既に触れている可能性もあるけれども、それでもまだまだ磨ききれていない意識をピカピカにしてもらえました。

かといって別に何も意識高い系なことを書いていません。ただただ地に足の着いたことを言います。逆にそのせいで苦しくなることもあるかも。

この感覚、例えば「金持ち父さん 貧乏父さん」を読んでて「ローンとかしないで身軽な状態でいましょう」なんて言われても、「え、もう30年ローン組んでいるんだけど…」ってなって少し落ち込む感じなのかな?笑

例えば自分なんかは過去にスタートアップで働いたことがあるので、VCの投資の下りとか割りと冷や汗をかいたよ。

そこでは、自分で稼ぐ方法を見つけるまで他人の金を使わせてもらえる。そこでは、ビジネスの理論は関係ない。
この不思議な場所の問題は、それがおとぎ話の世界だということだ。 [p59]

すなわち、利益を出し、それを持続させることを無視してもいい世界で、本物のビジネスを一向に始めようとしないという問題。 当時の社長は別に利益を出すことには貪欲的だったけど、いつまでそのビジネスモデルが続くかというところでユーザーを見たプロダクトを作ろうとしない(というかできない)方だったので、自分としては思い当たるところがありますね。

数々の新しい事実に触れる

本の流れとして素晴らしいのは、最初のつかみ。 みんなが、そして読み終える前の自分も神格化しがちな失敗についてこのように触れている。

よくある誤解その二は、「失敗から学ぶ必要がある」というやつだ。失敗から何を学べるのだろうか? [p19]

このように、大きい誤解から分解して、そこから網羅的に数々の新しい真実を著者が伝えてくるのだが、その構成は王道ながら効果的。 自分の場合、過去の成功から得た環境や機会を全く活かせなかったという個人的な反省があるのだが、かといって今も残された藁につかみながら自分なりに努力しようと現状に立ち向かえるのは、過去の成功から得た経験に寄る。

例えば大学に行って、当時教授が話していたこととかは当時深く掘り下げようと思わなかったけれども、環境がそういう鍵だけでも授けてくれたおかげで、今はそういう分野に携わるような仕事をしていなくても自分の中でつながりをなくさない。

それはそれで、大学入試という競争に勝ったからなのはそうだし、そこで失敗をしていたらその鍵はもらえなかったわけよね。

これは少し個人的な方向へと話題が進んじゃったけど、他にもこの本は本質的なことをしよう、ということで自分の人生の質を見直すヒントをいっぱいくれます。

鏡のような本

Amazonレビューでも「抽象的で、実践的な手段は説明しない」という感想があったけど、それはやはり見据えるべき本質は人によって違うからであろうか。

それこそ記事の冒頭で「頑張る人には共感できる点が多い」みたいなことを書いたけど、正直今はあんまり頑張りたくない…と塞ぎ込んでいれば、この本という鏡は曇ってしまうかもしれない。何かしらの手段を講じることを、本が勧めてこないからね。抽象的だからこそ反応や考え方が内向するわけで、その機能が鈍っている状態なのだから。

当然、努力が辛いときは休めばいいけど、また気持ちがリフレッシュして人生を生きよう!ってなった時にこの本をサクッと読んで欲しいです。


とりあえず、「何をするにもそのアウトプットの質を上げよう、最大化させよう、だけどそれは小さく始められる」というのがこの本の言いたいことです。詳細は買って読もう!絶対損しないよ。